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「ヒロシマ・アピールズ」2021 ポスター
タイトル:HIROSHIMA
デザイン:大貫卓也 (おおぬき・たくや)
サイズ:B1(728×1,030mm)
印 刷:凸版印刷株式会社
用 紙:株式会社竹尾
制作コメント
長年、広告という多くの人へ伝えることを生業にしてきました。
今日よりも、少しでも明るく楽しい未来を提示することが広告だと思っています。
しかし今回、わたしは原子爆弾の脅威を今の若者へ歴史としてではなく、ライブ感をもって伝えることが、原爆という事実を風化させずに、心に刻むことになるのではないか、そのほうが希望のある未来に協力することになるのではないかと考えました。
原爆を体験した語り部が減少していく現在、原子爆弾という存在をきちんと後世へ伝えていくヒロシマ・アピールズという活動に関わることは表現者として身の引き締まる思いです。
今回のポスターはAR(拡張現実)を使用したポスターです。
スノードームには平和の象徴である白い鳩が入っています。
そして、通常ならスノードームには白い粉が封入されているものですが、この作品には黒い粉が封入されています。
携帯をこのポスターにかざすことで、このポスターは動き出します(※)。それも、時間を巻き戻すように。
やがて黒い粉がドームの中に充満し、平和が踏みにじられた様子、戦争、原子爆弾、黒い雨などが想起され、戦争をリアルに感じることとなり、胸をしめつけられるかもしれません。
その黒い粉はやがてゆっくりと地上に落ちてゆき、そこに微動だにしない白い鳩があらわれます。
スノードームとは本来、ゆっくりと雪が落ちてゆく様子を見ることで各々に自分なりのストーリーを想像させる、そんな装置でもあると思っています。この作品は、原子爆弾にリアリティーを持たなくなってしまった世代の若者へ、一瞬でも、考え、想像させる時間を持ってもらうための表現として考えています。
さらに言えば、戦争や原爆についてガラス越しに俯瞰して眺めている人に対して気が付いてほしいこと。それは、ガラスに閉じ込められた白い鳩はまだ自由に飛び立ってはいないということ。
白い鳩が、世界中で自由に飛び立つ日が来ることを願っています。
※スマートフォンでAR専用アプリ「aug!」をダウンロードし、アプリを開いてポスターにスマートフォンをかざすことで、ARポスターをご覧になれます。
※ARポスターは、一定期間経過した後、サービスを終了する場合があります。予めご了承ください。
「ヒロシマ・アピールズ」ポスターとは
1983年、第1回作品として、当時JAGDA会長の故・亀倉雄策氏による「燃え落ちる蝶」を発表。その後1989年まで、毎年JAGDA会員1名がボランティアで1点ずつ新しいポスターを制作。ポスターは広島市長への贈呈のほか、1985年にスイス・ジュネーブでの米ソ首脳会談前に開かれた原爆資料展、1997年の欧州ヒロシマ展で紹介されるなど、海外でも反響を呼びました。戦後60周年を迎えた2005年に制作を再開し、平和市長会議の加盟都市への寄贈や2016年G7広島外相会合プレスセンターでの展示、2019年に広島を訪日したローマ教皇への寄贈など、海外に向けて平和を希求する心を発信し続けています。
・主催:公益財団法人ヒロシマ平和創造基金、一般財団法人広島国際文化財団、JAGDA広島地区
・協力:凸版印刷株式会社、株式会社竹尾
歴代制作者:
1983 亀倉雄策/1984 粟津 潔/1985 福田繁雄/1986 早川良雄/1987 永井一正/1988 田中一光/1989 勝井三雄/1990 石岡瑛子/2005 仲條正義/2006 佐藤晃一/2007 松永 真/2008 青葉益輝/2009 浅葉克己/2010 長友啓典/2011 遠藤 享/2012 奥村靫正/2013 葛西 薫/2014 井上嗣也/2015 佐藤 卓/2016 上條喬久/2017 原 研哉/2018 服部一成/2019 澁谷克彦/2020 渡邉良重/2021 大貫卓也